「流通業界のトヨタ」と言われるワケ言うまでもなくトヨタ自動車は日本を、いや世界を代表するベンチマーキング企業だが、この業界で唯一、そのトヨタに擬せられる企業がしまむらである。たとえば週刊経済誌の「日経ビジネス」は06年5月22日号で、計18頁に及ぶしまむらの大特集を組んでいる。その特集タイトルはズバリ、「小売りのトヨタしまむら流」だ。同誌はその中で、しまむらをベンチマーキングしながら企業改革に成功した良品計画のケースを取り上げ、「無印良品が実践した3つの「しまむら流」」として、「(1)意志決定のスピード重視、(2)ムダ許さぬ思想を社風に、(3)カリスマ不要、仕組みを磨く」などと紹介している。良品計画は02年から、しまむら会長のF(当時社長)を社外取締役に迎え入れている。それもあって、良品計画は堂々と(?)しまむらの理念や仕組みを取り入れることができたという背景があったのかも知れない。あるいは(経営者同士の交友がある)ワールドやトリンプといったアパレル界を代表する優良企業も、しまむら流経営から多くを学んだと言われている。さらに、自ら口には出さねど、明らかにしまむらをベンチマーキングし、貪欲にそれを取り入れ成長している(と思われる)企業が、この業界には多数見受けられる。たとえばベビー・子供服の西松屋チェーン。同社は実に11連続の増収増益を続ける超優良企業だ。前期(06年2月期)売上高は4ケタ企業へあと一歩に迫る951億円。経常利益は初の100億円大台に乗せている。同社を成功に導いた要因は何か。ここに詳細を記す紙幅はないが、あえて誤解を恐れずそれをひとことで言い切ってしまえば、「ベビー・子供服版しまむら流経営」に徹したからである。さらに(日経ビジネスでも紹介されている)カジュアル業界2位のライトオンや、このところ台頭著しい婦人ヤングカジュアルのハニーズ(前出)なども、随所で「しまむら流」を実践する代表的な成長企業と言えるだろう。流通業の「お手本」として、ユニクロではなくしまむらを挙げる企業が圧倒的に多いのが興味深い。ユニクロは「ちょっと苛烈すぎて、ウチではとてもマネできそうにない」といったところだろうか。ではそんな業界きっての「お手本企業しまむら」がどう進化しようとしているのか。