「受験否定論」は、教育の問題を何でもかんでも受験のせいにするという点に弱点があり、教育病理は単一の原因から生じるような単純なものではない、というあたり前の事実から目をそらせる結果を生んでいる。他方、「受験肯定論」は、受験勉強の良い面だけを強調する傾向にあり、結果として受験産業にとって都合の良いイデオロギーとなっている。私は受験の問題に限らず、あらゆる問題に対して、両極を見据えるとその間に事の本質が見えてくる、という立場に立っている。フロイトの精神分析を読んだら、精神分析などエセ科学にすぎないとするアイゼンクの行動理論を読む、といったようにである。したがって、適切な対極がない場合には自分でそれを作り出すこともする。