「屋上空間」が日本の都市をみにくくしている

2011-12-30

いまさら歴史を過去にひきもどすことはできない。このあたえられた現実を基礎においてしか、未来をかんがえることはできないのである。そう観念して、もういちど、いまの都市をみなおしてみると、日本の都市をみにくくしている最大のものは、中高層のビルやアパートの「屋上空間」ではないかと、私はかんがえるのである。最近、都市の景観とか美観とかいうことが、新聞紙上でもいろいろ論ぜられるようになってきたが、そういう問題にたいてい介在しているのは、五〜一〇階だてぐらいの現代ビル建築である。

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たとえば、伝統的な日本建築とビル建築とのあいだの調和の問題、あるいは一般ビル建築と超高層建築との調和の問題、などというぐあいである。このように都市の美観論争の多くのばあい、四、五階だてから一〇階だてぐらいの、近代的スタイルのビル建築が、問題の一方の当事者となっていることが多いのであるが、それというのも、日本の都市の中心部をかたちづくっているのは、大部分、これらの中高層ビルだからであり、これをぬきにしては、日本の都市の美観や景観を論じられないのは当然であろう。