ココ・シャネルという女性デザイナー

2011-05-17

ココ・シャネルという女性デザイナーの一体何がこれはどの興味を誘うのでしょうか。そのひとつは、モードクリエイターとしての卓越した才能によって生み出された不朽の作品への評価にあることは否めません。でもそれ以上に僕の興味をそそるのは、他のデザイナーとシャネル自身との生き方のスタンスの大きな違いなんです。孤児院で育ったとされるココ・シャネルは、当然ながら特権階級に属していた女性ではありません。彼女が当時イギリスの新興ブルジョワジーであったボーイ・カペルをその美貌で魅了しながらパトロンにつけ、帽子の店からスタートを切ったのは有名な話です。シャネルの名声を不動のものにしたシュミーズードレスやカーディガンのツインセット、ジャージー素材の服も10年代に制作されています。要するにジャンヌ・ランバンやポール・ポワレをはじめ、この時代に活躍していた他の有名デザイナー達のほとんどがすでに“お爺ちゃん、お婆ちゃん”の年齢に達していた当時のモード界に彗星のごとく登場した、ルックス的にもイケてる若い女性デザイナー、それがココ・シャネルという存在なんです。平らな胸でゆったりとした着心地を優先した服を着て、短くボーイッシュに刈り込んだヘアスタイルという、20年代には当時最も先鋭的とされたギャルソンヌと呼ばれた女性達の理想像こそがシャネルだったんです。ココ・シャネルが巻き起こしたモードの革命とは、すなわち“ルック”から“スタイル”へとモードを転換したことなんです。「私の生き方そのものがモードだった」というシャネル自身の名言がそれを物語っています。ここが重要なポイントなんですが、20世紀のモード史におけるトレンドの流れは、女性のライフスタイルの変化、そしてそれにともなう社会性の進化によって生まれているわけです。そのすべての礎を築いた存在がココ・シャネルであるという事実こそが、彼女が20世紀を代表するデザイナーに輝かせている最大の理由なのではないでしょうか。