付加価値のあり方は変わっていきます。私の高校時代には、「Made In Italy」のネクタイは高級でした。単純に品質が良い、という意味だけではありません。イタリア製ということが当時は付加価値になっていたのです。ところが実際にイタリアへ行ってみると、売られているネクタイのほとんどが、当然ながら「Made In Italy」。値段だって日本で売っているものの数分の一だったりします。このとき、日本で感じていたあの「Made In Italy」という付加価値が私の中で消えていきます。いま現在はどうでしょう?みなさんは「Made In Italy」というだけで、その商品が欲しいですか?欲しくないということはつまり、そこにもはや付加価値がないんです。「Made In Italy」というものを“食べ切って”しまったんです。そこに新たな付加価値がないと、ありがたくない。例えばイタリアの貴族の御用達であるとか、英国王室の御用達である。そのうえで「Made In Italy」というならば、まだ成立すると思います。ただそれもいずれは、御用達をみんなが“食べ切って”しまうことになるのは間違いないでしょう。私は、付加価値をケーキのようなものだと考えています。まずは、みんなが欲しいと思うようなおいしいケーキをつくることが大切。ワンホール、ケーキをつくる。それが売れていきます。おいしいから食べていただけます。でも最後には絶対なくなるんです。私たちがしなくてはならないことは、ケーキがなくなる前に、もっと大きな、これまでと違う味のケーキをつくること。みんながケーキを全部食べ尽くしてしまってから「さあ、新しいケーキをつくろう」と思ってももう遅いんです。みんながそのケーキをおいしいと言って食べてくれているときから、次のケーキのことを考えていなければならない。どういう生地を練って、どういうフルーツを入れるのか。